メイドＲＰＧ考察

　ネットで「メイド」を検索したい場合、「メイドさん」と入力しなくてはならないそうです。

　と、システム考察のトップを飾るタイトルがメイドＲＰＧとはどうよ！？って気もしますが、まず諸データから。

タイトル：メイドＲＰＧ
定価：１６８０円（本体１６００＋税）
初版：２００４年１２月３０日
デザイナー：神谷涼
イラスト：ＩＷＡＫＯ
発売元：サンセットゲームズ
サプリ：「恋するメイドＲＰＧ」（２１００円、追加データ＆追加選択ルール）、「夢見るメイドＲＰＧ」（２１００円、シナリオ集＆サプリメント）

　このゲームでは原則メイドしかできません。
　サプリメントの「恋するメイドＲＰＧ」を適用することによって「執事」等ができますが、 ＰＬはメイドじゃなきゃ駄目！と、感じます。
　ゲームの目的は、他のメイドと競ってご主人様の寵愛を一身に受ける、というもの。物語の舞台も「お屋敷」のみでお屋敷の外の世界は拒否！って徹底ぶり。でも油断していると「宇宙」に言ったり「ファンタジー」になったりということがわりと発生します。
　今のところこのシステムで遊んでいるという話は「ほとんど」耳にしません。タイトルからしてネタの域を出ず、「メイド≒エロゲ」という一部の認識も手伝った結果といえます。また、実際にルールブックを手にして 「どのように遊んだらいいか分からない」との声もありました。余談ですが、ルールブックに載っているリプレイは氏の脳内リプレイだそうです。ここの内容も敬遠されている理由ではないかと。
　例外的にこのメイドＲＰＧを武器に活動しいていたサークルが大阪にあり、そこのサークルの感想と私自身の実体験、それにルールブックを読み込んでみての個人的な考察を。

　まず、『極めて感覚的かつ非常にシンプルなシステムデザイン（使用するダイスはＤ６が２個）』であり、『予測不能で抱腹転倒』もののセッションが楽しめるシステムです。
　『感覚的』かつ『抱腹』であるのはキャラメイクから始まっています。所要時間は５分程。方式は名前以外はダイスを振り、ランダムで決定。この僅かの作業でツッコミどころ満載(“メイドパワー”“メイドウェポン”というものがデフォである）なメイドが誕生します。ちなみに、私が始めて作ったメイドは魔力炉搭載のロボメイドでした。
　実プレイですが、『正統派メイド』とか『ストーリー重視』というのを念頭において始めると、 確実に失敗します。特に「シャーリー」とか「エマ」見たいなメイドを目指して始めると１２０％の勢いで転ぶので注意が必要です。
　実際に大阪のコンベンションでメイドＲＰＧに参加した人の評価は、「面白い」というものでした。
　セッション成功の鍵は、「どこまでお互いが搭載したネタを引っ張って悪ふざけし続けられるか」に掛かっていると思われます。そのときのＧＭさんの台詞だと「一日ＰＬとの知恵比べで楽しい」とのこと。
　面白い事実として、大阪では、このメイドＲＰＧは女性受けが良かったようです。
　その人たちの感想で興味深かったのは「男のひとの演じるメイドの方が綺麗（純粋）で、オンナの人の演じるメイドは生々しい♪」でした。男はメイドに幻想を求めているからでしょうか？（笑）

　一度だけこのシステムで「ご主人様」（ＧＭのこと）を大阪のオープン定例会でやりました。そこのサークルは「昼の部」「夜の部」の二部構成なんですが、もちろん「夜の部」でですよ〜
　ＰＬは三人、全て男、ホワイトボードやテーブル等で室内隔離された挙句、参加しない方々から生暖かい視線を受けつつも、参加者は 本気でした。（笑）
　メイド達の強い要望でご主人様は「ショタ」で内向的な設定。当然のように手加減抜きでいじられました。大丈夫、１８禁には成っていません。セッションは壮絶な馬鹿騒ぎの応酬で無事終わらせました。

　では、このシステムを扱う上での問題点です。
　第一にセッションに掛かる時間です。どんなに引っ張っても５〜６時間くらいで片がつきます。コンベンション等の時間枠では時間いっぱいセッションするのは難しい、とＧＭをやった人たちの共通の認識です。お勧めなのは、セッション終了後の２時間程度の軽いセッションです。メイドＲＰＧでは「シナリオが無くても」ゲームができる（上記ＧＭの知恵比べの所以です）ためお手軽に盛り上がれます。
　第二に「シナリオを作りにくい」ことです。また、キャンペーンにも不向きと感じました。２００５年に大阪で行われた「メイドＲＰＧオンリーコン」にエントリーしていたＧＭ諸氏の共通の苦悩でした。中にはその設定だけで新しいサプリができそうなシナリオを用意してきた剛の者もいましたが。
　そしてもっとも重要な第三、18禁にしないことです。これだけ参加者が守れれば、必ず楽しい１日になるはずです。

　最後に総評として、

　メイドＲＰＧは存外に楽しめる

　システムである、です。
　このコラムに触発されてメイドＲＰＧをやってしまった方は、詳細を知らせてくれるとうれしい限りです。
　そういえば、２００５年に氏がテストプレイをしていたメガネ天使ＲＰＧはどうなったんでしょうね？
　　


　


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