評価遊ばれる頻度(例会に対する回数) デザイナー&発売年&購入時期

ツォルキン:マヤ神聖歴
人数 2−4人
時間 90分
複雑性 ★★★★★
戦略性 ★★★★★
運 ■■★★
交渉 

メンバー評価 ★★☆
管理人オススメ度 ★★★★☆

プレイ後感覚 
2014年〜 2箱庭発展ゲーム

Luciani, Simone(ルチアーニ, シモーネ)Tascini, Daniele(タッシーニ, ダニエル)
2012年 発売
入手時期 2012年5月

2014.08.10

ワーカープレイスメントは、ここに一つの極地に至った

これはよそのサイトさんで見かけた煽り文句なんですが、私も全面的に肯定します。
2005年付近から、ゲームボード上の場所にワーカー駒を配置してアクションを選択していく「ワーカープレイスメント方式」というのがに わかにトレンドになっていたようなんですが、ツォルキンはさらに『歯車アクション』を加えることによりその完成度を極地まで押し上げたと 言っても過言ではありません。




これがゲームボードの全景。
 写真左半分を占めているのが、このゲームの肝である大小6つの歯車。中央の大きな歯車が「ツォルキンの歯車」と呼ばれ、周囲の5つの中小の歯車がそれぞれ都市になっています。 ゲーム中には各々各都市にワーカーを送り込み、中央の「ツォルキンの歯車」が一つ時を刻むごとに各都市の奥地へとワーカーをいざなっていきます。
 右上にあるのはマヤ文明における三柱の神殿。右中は4つの技術、右下の上段は描かれている内容に特化することで多くの勝利点をもたらしてくれる記念碑(モニュメント)、下段は建築物のエリアです。

 ゲームの目的は様々な方法で自分の一族を発展させること。26ターン(=歯車一周)後の決算ののち、もっとも勝利点を得たプレーヤーが勝利者となります。

 

ゲームの流れは全員が手番が終わると矢印の方向に一つ歯車が回り、丁度歯車が1回転するまで続きます。
 ゲーム中ワーカーに対する食料供給が都合4回あり、支払いきれなかった場合、 支払えなかったワーカーの分だけ大きな減点を受けてしまいます。
 食料供給日は厳しい反面、三柱の神殿からそれぞれへの恭順度合応じて資源や勝利点がもたらされます。ツォルキンでは神への感謝の気持ちを疎かにしていては勝利にはつながらないわけですね。




 ではではマヤ文明の5つの都市をそれぞれ紹介〜

 パレンケ(PALENQUE)、左上

 ここはジャングルに接した都市で、木材と食料をもたらしてくれます。森林が伐採されるとトウモロコシ畑に替わり、収穫が終わると最後は荒れ地になってしまいます。荒れ地からは農業技術を伸ばして(畑を作るイメージ)いないと何ももたらさなくなります。


 ヤシュチラン(YAXCHILAN)、右上

 ここは山々に面した都市で、あらゆる資源をもたらしてくれます。そして資源だけでなく希少な水晶髑髏も手に入れることができます。建物やモニュメントを建てようと思ったらまずここにワーカーを送り込むことになるでしょう。


 ティカル(TIKAL)、右

 建設と研究の学術都市、資源を対価にゲームを優位に進められる技術の革新や建設を行う場所です。建物とモニュメントは全て早い者勝ち。消費一辺倒ですがこの都市の活用法こそが勝利への近道となるでしょう。


 ウズマル(UXMAL)、右下

 ここは商業都市。コーンを対価に様々な効果を得ることができます。何よりワーカー駒を増やせるのも基本ここだけ。ここを起点に資源やらコーンを廻していく戦術もありかもしれませんね


 チチェン・イツァ(CHICHEN ITZA)、左下

 神殿都市チチェン・イツァ。5つの都市の中でもっとも特異な都市で、他の4都市より一回り大きく(歯車の数が多い)、またアクションを得ようと思ったらワーカーを置くだけではダメ。白い楕円に水晶髑髏を奉納する必要があります。さらに各アクションは早い者勝ち。
 一度水晶髑髏が奉納された場所ではあとから奉納することもアクションを選択することもできません。その分見返りも大きく信仰と多くの勝利点をもたらしてくれます。


 これが水晶髑髏

 全部で13個丁度で14個目以降は手に入りません。チチェン・イツァに奉納しなくてもこれ一つで3点の勝利点になるため持っていても損にはなりません。



☆ゲームの流れ

初期資産タイルを4枚受け取り、そこから2枚を選択。全員が選択を終えたら選択した初期資源タイルに書かれている物を初期資産として受け取ります。この初期資産で大まかなゲーム中の流れが決まっていくはずですが、慣れるまでは【コーン6つ以上】にするほうが無難です。 その後選んだ色のワーカー駒を3つ受け取り、残りの小さなマーカーを神殿/技術/得点トラックの0の位置に配置したらセットアップ完了。


手番では【ワーカーを置く】か【ワーカーを取る】の2択でどちらかをしなくてはなりません。つまり組み合わせたりパスしたりはできません。このどちらかを行ったら手番終了。スタPマーカーを持っているプレーヤーから時計回りに手番を行い、すべてのプレーヤーが手番を終えたら1ターン終了。 ターン終了時に歯車が一つ進み、ワーカーは都市の奥へと運ばれていくわけですね。ゲームとしては最終ターンまでこれを繰り返すだけ。あとは後述となりますがそのターンで誰もスタPマーカー獲得のアクションを選択していない時に限り中央の歯車にコーンを一つ置きます。


 【ワーカーを置く】時には番号の若い所から置かなくてはなりません。一番若い番号が埋まっていた場合、その次の番号に置くことになります。そしてもっとも気を付けなくてはならないのはワーカーを置く際のコストとしてコーンが必要になることです。

 ワーカーを置くコスト=都市番号

 それともう一つ。同一の手番に二つ目以降のワーカーを配置した場合、人数に応じた追加コストがかかります。なのでワーカープレイスメントの常として、その配置には計画的にかつ効率的な運用が求められます。
 全てのワーカーを置いた場合、次の手番で必ずワーカーを取らなくてはいけなくなるので注意が必要です。

 【ワーカーを取る】時に始めてリターンが発生します。手に入るものは都市の外円部に描かれているアイコンで表示されています。ワーカーを取る際には一切コストはかかりません。が!各都市共通して奥に行くほどリターンが大きくなるようにデザインされているため、手数で細かく回収するか?待って大きく回収するか? というジレンマにも悩まされることになります。


 これがスタートプレーヤーマーカー(スタP)獲得アクション。全景の写真から漏れていますが、パレンケとチチェン・イツァの左中間くらいにあります。便宜上の都市番号は『0』
スタP獲得アクションには3つの効果あります。
1.スタPマーカー獲得(手番の最初にアクションが行える)
2.ツォルキンの歯車に乗っているコーンの回収 ※全景の写真の中央に紛らわしくごちゃっとコーンが乗っていますが、誰もスタP獲得アクションを取らなかった場合、経過した歯車の付け根にコーンを1つ置いていきます。
3.歯車2つ廻し※ゲーム中各プレーヤー1回のみ実行できる

※すでにスタPマーカーを持っているプレーヤーでもスタP獲得アクションを選択することができます。この場合スタPマーカーは左隣の人に移動します。
 この歯車2つ廻しとはターンの最後に通常一つしか進まない歯車を2つ進めるというまさに必殺技。「余分に一つ進めるだけ」と侮るなかれ。このツォルキンというゲーム、 効率の良い立ち回りを考えると必然的に何ターンか先を見据えた予定を立てていきます。またワーカーを置くと取るという異なるアクションをほぼ交互に行う関係上、一つ歯車が余分に進んだだけで予定は大きく狂うことになります。このダメージは熟練したプレーヤーほど大きくなるのが実に興味深いところですね。




これはうちの例会で遊んだ1回目2試合目のゲーム終了時の状態。このときはK(私)片鼻さんえびかげさんの3人プレイ。結果は1点差で片鼻さんの勝利。写真こそ取っていませんが、1回目は私が農業から神殿特化して圧勝していたため、
「ふーん、俺建設でやっても勝てるしww」
と余裕ぶっこいていたら最後の神への恭順からくる勝利点できっちり差し切られての2位でした。

 

 こちらがK(私)の最終的な資産状態。ワーカーを無理して2人増やしたまではよかったんですが、資源獲得とワーカーのためのコストであるコーンの運用に失敗し、ほとんど建設もできずなんとか技術モニュメントで勝利点を稼ぎました。

 

 こちらが片鼻さんの最終的な資産状態。ワーカーをこそ初期の3人のままですがひたすらジャングルを回り、農業から信仰へと転化しつつモニュメントもきっちり立てての勝利。彼はどうもこのツォルキンをいたく気に入ったらしく、後日拡張込みで買ったそうです。

 

 えびかげさんの最終的な資産状態。終始「何をやっていいかわからなかった」との言。私の説明不足も重なってしまったため、どうもこのツォルキンが悪い印象で残ってしまった模様。私にとっては痛恨の極みです。



このゲームの面白さは、と問われるならば『勝ちに至るまでの手段を、自ら模索し、構築していく過程にこそある』と答えることにしています。よってパーティゲームの一つ一つのアクションに一喜一憂できる面白さではなく、 ルールや真なる意味での『遊び方』を理解して初めて積み重なて行く楽しさが分かる、明らかにゲーマー向けのゲーマーズゲームです。
 『勝ち方』がイメージできたらある意味ここからが本番。こちらのしたいこと、相手のしたいこと、手順差、ワーカーの抜き差しによる間接的な妨害など、対人ゲームとして一つ上のステージに、そして真の面白さにたどり着けるはずです。

 最後にえびかげさんと、今回写真にはないですが2回目4人でやった時のなみさんの感想を併記します。

え:「結局、みんなティカルで技術上げないと始まらないじゃん」
 極論ですが正鵠的を得ているともいえます。ゲームの組立というか進む方向性を決めたら、関連する技術を上げるのが急務になります。なので分かっていればこそこれを逆手に取った戦術もあり得るはず。自分が1マイナスでも他が2以上マイナスなら戦術としては有効です。
な:「このゲーム、プレイした経験値がものを言うよね。結局さ、やり方分かっているオマエ(K)や片鼻だけが楽しいんじゃね?オレは嫌いじゃないけどやり方分からないやつには辛いんじゃない?」
 辛辣な意見ですが、おそらくその通りかと。経験を通して遊び方を一つ一つ理解できるためゲーム展開の幅が断然違います。ちなみにこのセリフはオンラインで100戦近く遊んでいる私に向けられたセリフです。


 私自身の感想としては、2014年度前半で入手したボードゲームの中では「一番面白い!」と最高得点を付けているんですが、のめり込みすぎたが故に置いてけぼり感が出ているようでなんとか改善したいところ。
 とりあえずツォルキンの攻略、というかコツを特集したコラムの作成が急務かなぁ。

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