Agricola、ラテン語で農家を意味する言葉。17世紀ヨーロッパは蔓延していた疫病から立ち直ったばかりで生きていくにもつらく厳しい時代、プレイヤーは農家の若き2人となり、
自分たちの農園を拡大し、豊かな暮らしを目指していきます。
世界的な流れで行くと、長らく世界のゲーマー達の間で不動の1位だったプエルトリコをその座から追い落とした話題作です。また対象人数が1〜5人と1人でも遊べるようになっているので機会があれば「アグリコラ:ソロプレイ」のレビューも紹介したいところ。
さてさて、どんなゲームかとい言うと、14ターンの間に各ターン毎に家族コマ(ワーカー)を『採取』や『種まき』などのアクションスペースに配置してアクションを行い、農園の発展を目指す、というゲームになります。
こちらがメインゲーム(※簡易ルールのファミリールールというものもある)のセットアップ完了状態です。ぱっと見「ごちゃっとしている」以外の感想はでませんね(笑)
このゲームの特徴の一つが付属物の多さが上げられます。
『ゲームボード』が【9枚】、『カード類』が【360枚】、『木製のコマ』が【313個】、『タイル/マーカー類』が【106個】と比喩表現でなく箱に収まっている状態だとかなりの重量になります
半透明のトレイに小分けされているのがゲーム中に使う資源や家畜など。左上から『食糧』『木材』『レンガ』『葦(あし)』『石材』『木の部屋/レンガの部屋』
下段の左からは『麦(黄色』&『野菜『オレンジ』『倍数チット』『牛』『イノシシ』『羊』『石の部屋/畑』
ゲーム中資源や家畜コマは各ターンの頭に対応したアクションスペースにそれぞれ供給され、プレーヤーはそのアクションスペースに家族コマ(ワーカー)を配置して回収する流れになります。
こちらが中央に鎮座している共用のメインボード。それぞれのマスがアクションスペースでスタートプレーヤーから家族コマを1つずつ配置していって、そこにある資源を全て回収したり書かれているアクションを
即座に実行していきます。全員が家族コマを配置し終わったらそのターンは終了。家族コマは家に帰宅します(ルールに書いてある)。
左下に置かれている紺色のカードはラウンドカードで各ターンの頭にメインボードの中央から1枚づつアクションスペースに公開されていきます。つまり毎ターン選べるアクションが増えます。ラウンドカードは14ターンを6つのステージ
に分けられていて、「どのアクションがどのステージで公開される」というのはあらかじめわかっています。この辺は裏が得点計算表になっているサマリーカードにも書かれています。
各ステージの終わり(4、7、9、11、13、14ターン)には農家に待望の収穫が訪れます。畑からは収穫があり、二頭以上いれば家畜も繁殖し増えます。が!このゲームでもっとも厳しい家族に対する「食糧供給」をも行わなければ
なりません。
家族コマ1つにつき食糧【2】。食糧が不足した場合、写真右下にある「物乞いカード」を受け取らなくてはなりません。
「物乞いカード」はゲーム終了時【−3】点と大きなペナルティになってしまいます。この食糧事情を如何するかがゲームを通じてプレイヤーの頭を悩ますことになります。
中央にある赤い10枚のカードは「大きな進歩カード」。主に食糧事情を改善したり勝利点をもたらしたりといいことづくめなんですが、こちらは早い者勝ち。畑からの収穫を食糧に変える場合でも家畜を食糧に変える場合でも必要なカード
であるため早めに押さえておきたいところ。
こちらが各プレーヤーに配られる個人ボードになります。
『職業カード』と『小さな進歩カード』が7枚ずつ、どちらも食糧事情を少しだけ改善したり、資源面で少しだけ有利になったり、はたまた少しだけ勝利点をくれる便利系のカードで、公開することで少しだけゲームが有利になるものです。公開するにはそれぞれ必要なアクションを選択した上で
職業カードなら食糧(※1枚目はコスト無し)、小さな進歩カードなら資源の消費が必要です。
写真左中段のはステージ毎に公開されるラウンドカードの種類が書かれている『サマリーカード』。こちらは裏面が得点計算表になっています。
左下の透明のビニール袋に小分けされているのはゲーム中個人ボードに置くことになる木製のコマ。写真では赤色のコマですが他に4色ありこの色ごとでどのプレーヤーかと識別します。
右にあるのが個人ボード。3×5の正方形に区分けされているのがプレーヤー毎の農場の広さ。ここに畑を置いたり柵で辺を囲って牧場にしたりと箱庭ゲーよろしく作り込んでいくことになります。
最初は木の部屋2つと家族コマ2つ、そして食糧が3つからゲームスタート。
このアグリコラというゲーム、資源を回収しつつ自分の農園を発展させていくという性質上、ソロプレイで箱庭を作り込んでいく感が極めて高いの特徴の一つです。
その為か日本のボードゲームを紹介しているいくつかのサイトでは、他のプレーヤーとの関わりあいが低く、得点計算の判りにくさも相まって、前評判の割にはかなり低い評価を付けられています。なんですが、ゲームを始めていくとやや少ないリソースを他のプレイヤー
と取り合っていくゲームだと気がつくはず。
ひとつのアクションスペースには1つの家族コマしか配置できないため、早い者勝ち
説明のために資源供給のアクションスペースを一つピックアップしました。
このアクションスペースにはオレンジの↓がついているため、毎ターン4つ【木材】を供給されるという効果があります。そして誰もこの木材を回収しなかった場合累積していきます。
となると資源がそこに沢山溜まっている状態で1度に回収した方が有利!になるんですが、当然他のプレーヤーも同じことを考えています。またどうしてもの必要に迫られて少ない状態でも回収したい場合もあって、溜まるまで待つか、取れる内に回収するかのジレンマが実にいい味を出してくれます。
ゲームの勝敗は農園の発展度合いの各要素につき【−1〜+4】点数が付けられ、これに家族コマの人数と進歩カード等による加算点を加えたもので付けられます。
注意しなくてはならないのは農園の発展度合いに付けられる点数ですね。どれだけ特化していても最大で【+4】しか付かず、その要素が0の場合【−1点】の減点を受けてしまいます。よって何かに特化するのではなく、万遍なく発展させることがキモになります。
ここからは2014.4.20に行われたウチのゲーム会
K(私)、えびかげさん、なみさん、片鼻さん(白)、の4人プレイ
アグリコラのプレイは2回目、1回目は簡易ルールであるファミリールールで遊んだため、『職業カード』と『小さな進歩カード』が加わるメインゲームは今回が初。
セットアップが終わった後各々に配られた『職業カード』と『小さな進歩カード』に目を通し、ゲーム中の戦略を考えていきます。この『職業カード』と『小さな進歩カード』により農園の発展する方向性が各々バラバラになるのが面白いところです。
私はこの2枚の職業カードで序盤から中盤にかけて食糧を確保しつつ野菜を育てて行くことを基本戦略にすえました。
序盤から小劇場に夫婦して入り浸りとか、出だしから農家じゃないw
あとカードにはぱっとしたものを感じなかったので中盤以降は出たとこ勝負。家畜の確保は終了直前にスタP確保して柵の設置も一度に済ませる計画です。
私は予定通り踊って日銭(食糧)を確保しつつ畑と増築を第1に動きました。
えびかげさんは【日雇労働者】のアクションにボーナスの付く職業カードと小さな進歩カードをベースに、早期から食糧交換比率の高い『牛』を育てていく狙い。なみさんは『職業カード/柵管理人』の効果を背景に早期から牧場を拡大し畜産業に注力、片鼻さん(白)は野菜に特化したカードで攻めていく模様。
K:「ちょw俺の代わりに踊るなYO」
なみさん:「しゃーねーだろ、食糧足りないんだから」
片鼻さん:「うわ、それ取るなよ〜」
えびかげさん:「日雇労働者」・・・で野菜を貰う!」
まあ、こんな感じでゲームが進んでいき、無事14ターン終了〜
結果は、K:33点、えびかげさん:13点、なみさん:25点、片鼻(白)さん:22点と私の勝利で終わっています。
家族コマの数と『小さな進歩カード』によるボーナス点の分で勝敗が分かれたようです。やっぱりソロプレイで何度か試行錯誤している分有利だったみたいです。
片鼻さん(白)、「職業カード」と「小さな進歩カード」公開しまくったせいで一枚の写真に収まらなかった。それにしても・・・色々と酷くない?w
最初にファミリールールでやった時の写真もあるんで合わせて公開〜
1回目は5人プレイで、K(私):32点、るんるんさん:16点、なみさん:14点、えびかげさん(白):21点、片鼻さん:16点
ソロプレイ数度、対人戦2回と遊んでみての私自身の感想ですが、アグリコラを否定的に捉えているサイトさんとも同じ問題点も感じましたが、唯一高評価を付けているサイトさんと同じ評価に落ち着きました。
確かに他のプレーヤーとの関わりあいが低く、対戦ゲームとしての要素が弱いというのがありますが、箱庭を作り込んでいく、という点にかけては物凄く充実感がありました。この辺はどうも「食糧に追われながら家族と暮らしを拡充していく」という、我々にとって大変身近なテーマであるからだと感じました。
定番ゲームにするには二の足を踏む作品ですが、思い出した時にポッとやりたくなるような、そんな不思議な魅力の詰まった作品です。
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