評価遊ばれる頻度(例会に対する回数) デザイナー&発売年&購入時期

アクワイア(ACQUIRE)
人数 2−6人
時間 約90分
複雑性 ★★
戦略性 ★★★★
運 ■■★★★
交渉 

メンバー評価 未集計
管理人オススメ度 ★★★★★

プレイ後感覚 重い
〜2014年 年に数回
2014年〜 0
マネーゲーム

Sackson, Sid(サクソン, シド)アメリカ
1962年 発売

入手時期 かなり昔

2014.05.11

随分と古いゲームの一つですが、私の所有してるゲームの中で『マネーゲーム三部作』の一つです。(残りの二つはモダン・アートとモノポリー)
 このアクワイアというゲームは初期資金$6000を元手に7つあるホテルの株券を売買し、7つのホテルの吸収合併による配当金を獲得しつつ、最終的にお金を多く所持していた人が勝ち という純然たるマネーゲームです。

 このゲームの妙は、株券の取り回しにこそあります。序盤は資金作りのために安いうちに株券を買い、ホテルの細かい吸収合併を繰り返しますが、中盤以降は独立し成長するホテルの株券へと交換を目指すことに実にスムーズに移行していきます。
 そして次の手番で吸収合併を計っている時のスリルと緊張感はもはや異常。何故なら自分の手番に回ってくる前にゲームボード上の状況が激変していることも珍しくないからです。なので計画していた吸収合併がなった時の達成感は格別なものです。 私は毎度手に汗握りながら、ドキドキハラハラしながら遊んでいます。
 と、アクワイヤには得も言えぬ興奮があるんですが、初めてこのゲームを遊ぶ人にはなかなか掴み切れません。なので私はこのゲームを初めて遊ぶ人には、「一回目で楽しさが分かり、二回目でやりたいことが出来て、三回目でやりたいことが出来る」 と説明しています。


こちらがゲームボードの全景。横列に<1〜12>の12列、縦列に<A〜I>までの9列で全部で12×9の 108個のマス。それぞれに対応したホテルタイルがあり各々の手番の最初に1マスずつホテルタイルを置いていくことになります。
 最近の版ではボードが単色プラスチック製で半分くらいのサイズになり、ホテルタイル、ホテルマーカーともにプラスチック製の立体になって ボードにはめ込む方式になっていますが、私はプラスチック製のゲームボードの無機質感や殺風景さを嫌いわざわざ紙製のボードの古い大きなセットを探し出して購入しました。

左の7色の札が7つのホテルに対応したそれぞれの株券と右がお金。株券は【各25枚】ずつあり株券の上に乗っているのがボード上にそのホテルが建っていることを示す マーカーです。重要なルールとして所持している株券の各種1枚自分の前に公開しなくてはならないというものがあります。 誰がどのホテルの株券を所持しているかという公開情報となりますが、2枚目以降は他のプレーヤーに隠しておきます。あと残っている株券はいつでも数を数えることが出来ます。
 7つのホテルには格付けがあって、左の2つが安い、真ん中の3つが普通、右の2つが高い、というという風になっています。

これがホテルの【タイル数に合わせた】、【株1枚あたりの値段】、吸収合併時の【配当金】の関係表です。
 該当するホテルを選んでそのままタイル数まで下り、そこから真横に見ていきます。例として赤枠で囲んだ『Tower』の株券を見ると、【タイル:3】のとき、【株券1枚:$300】 【配当金】は筆頭株主が$3000次席株主が$1500となっています。
※吸収合併の際、株券を持っていても所持数3番目以降には配当金は発生しません
 同じタイル数でも『Imperial』や『Continental』は『Tower』の倍の購入費用と倍の配当金が支払われる仕組みです

ゲームの準備

・全てのホテルタイルを裏返して別置きし、各プレイヤーはインフォメーションカードと$6000を受け取る($1000×4枚 $500×3枚 $100×5枚)
 ・順番を決めるため各自裏返したホテルタイルを1枚引き、ゲームボードの対応したマスを置く。(このときホテルタイルが隣接してもホテルは建たない)置いたホテルタイルの番号が 小さい者からスタートします。数字が同じ場合アルファベットが若い方が優先。(我々は1番小さい者から時計回りにしています)
 ・各プレーヤーは裏返したホテルタイルから6枚引いて手札とする。

ゲーム中はこんな感じ。『Tower』株も『Imperial』も二枚以上待っていますが、所持金と一緒に隠しています。


ゲームの流れ

自分の手番は以下の順で行います
 1.手札からホテルタイルを1枚ゲームボードに置く ※ホテルの成立、吸収合併が発生したら直ちに解決する
 2.成立しているホテルの株を3枚まで買う※同じ種類でなくても可。買わなくてもよい
 3.裏返した別置きしたホテルタイルを引いて手札に加える

とこれだけ

ホテルタイルを置いた事により縦か横で繋がったら(斜めはダメ)ホテルが成立します。7つあるホテルから残っている物の内、好きな種類を選び隣接させたホテルタイルの上にホテル マーカーを置き成立したホテルを皆に知らしめてやります。このときホテルを成立させた特権として成立させたホテルの株券を1枚受け取ります
 ホテルタイルを置くとき8つ目のホテルが成立するようには置けません。極めて稀ですが手札6枚全てが置けない場合、ホテルタイルを置く手順を飛ばします。

☆吸収合併!

吸収合併は2つ以上のホテルが接続される形にホテルタイルが置かれた場合発生します。このとき吸収合併を引き起こしたホテルタイルは何れのホテルにも帰属 しない扱いとなるため、処理が終わるまでは裏返して配置します。また『11タイル以上』になったホテルは【独立】し以降吸収合併されることは無くなります。※他の独立していないホテルを吸収することは可能。 独立したホテル同士を吸収合併させるようなタイルは以後置けなくなるため、手札にあれば裏返して配置し山からホテルタイルを補充します。

 吸収合併の具体的な手順は以下の通り
 1.株券を数え【筆頭株主】と【次席株主】に配当金を支払う
 2.合併を発生させたプレーヤーから時計回りに吸収されたホテルの株券の処理を行う

 吸収合併は常に構成するホテルタイルが多い方、つまり大きい方が小さい方を吸収します。大きさが同じホテルの場合は吸収合併を引き起こしたプレーヤーが吸収される方を選びます。
 さて、最も重要な【配当金】なんですが、『吸収された側』の筆頭株主と次席株主に支払われます。吸収されるホテルの各プレーヤーの株券を数え、直前のタイル数から1位(筆頭株主)と2位(次席株主)に速やかに銀行より配当金を受け取ります。
☆筆頭株主が複数いる・・・「筆頭株主」「次席株主」配当金を足して頭割り※端数$100単位で切り上げ、次席株主以下の配当は発生しない
☆次席株主が複数いる・・・「次席株主」配当金を頭割り※端数$100単位で切り上げ
☆次席株主以下が居ない(単独所持)・「筆頭株主」「次席株主」配当金総取り
 このゲームの面白いところは、「自分が株主のホテルを積極的に潰していく」ところにあります。というか、初期資金の$6000では早々にカツカツになるため積極的に自分の持ち株のホテルを吸収させるがあります。
 複数のホテルで同時に合併が発生した場合は、一番大きなホテルが他の小さいホテルを同時に吸収します。吸収された側の処理は大きい順に行い、同規模なら合併者が順番を決めます。

吸収されたホテルの株券の処理

 合併を発生させたプレーヤーから時計廻りで順番に決めていきます。以下の3つから自由に組み合わせて構いませんが、自分の番が終わった後には変更できません。
1.保持する
 またそのホテルが成立するのを期待して手元に残しておきます。新たに成立した場合手元に残した株券はそのまま有効ですが、ゲーム終了時にそのホテルが成立していない場合紙屑扱いになります
2.売却する
 吸収される直前のタイル数に合わせた価格で売却できます
3.合併先のホテルの株券と2:1で交換する
 吸収されたホテルの株券2枚で合併先の株券1枚の比率で交換できます。もちろん交換先の株券がまだある場合ですが。
※重要 株券を「買う」以外の処理は吸収合併時(と売却だけ終了時発生)にしか発生しません

 ちょっと文章だけでは分かりにくそうなんで例を用意しました。



PL:A 『LX』6枚 『Co』10枚 『Fe』3枚
PL:B 『LX』4枚 『Co』8枚 『Fe』3枚
PL:C 『LX』0枚 『Co』4枚 『Fe』9枚

※『Luxor』株は吸収されていないため本来は数える必要が無い。例のため数字を載せています

 今プレーヤーAが[7G]にホテルタイルを置いたため吸収合併が発生しました。(※吸収合併の処理が終わるまで[7G]のタイルは裏返しのまま)
 3つのホテルの内、最大のものは4マスの『Luxor』でルール通り次点の@『Continental』、A『Festival』の順で『Luxor』に吸収処理を行います。
 @『Continental』の処理から、プレーヤーA,B,Cの各々の株券を数えたところ、10枚のプレーヤーAが筆頭株主で、次席株主はBの8枚、Cも4枚所持していますが3位以下なので配当金が当たりません。
 インフォメーションカードより、銀行から筆頭株主のAに$5000が、次席株主のBには$2500が支払われます。
 続けて『Continental』株の処理を合併を引き起こしたAから決めていかなくてはなりません。この時点で株価は1枚$500。Aは次回以降も『Continental』が成立することを期待し(成立すれば高い確率で筆頭株主になる)、10枚をそのまま保持することにしました。
 続くBは、Aが10枚全てを保持したのを見て合併先である『Luxor』の株券と2:1で8枚全てを交換することにしました。これによってBは現時点で『Luxor』の筆頭株主に躍り出ます。Cも悩んだ末に4枚とも保持することに。筆頭株主には届きませんが次席株主の配当金狙いです
 Aお次は『Festival』の処理。筆頭株主は9枚のプレーヤーCで$3000、次席株主は3枚と同数でAとBそれぞれが$1500の半分の端数切り上げで$800ずつそれぞれ銀行から支払われます。
 続けて『Festival』株券の処理を行いますが筆頭株主のプレーヤーCからではなく、あくまで吸収合併を発生させたプレーヤーAから決めていきます。プレーヤーAは先の『Continental』の処理でBに『Luxor』の枚数を抜かれた見込のため、2:1交換で『Festival』2枚を『Luxor』 1枚に交換し、残りはそのまま所持。プレイヤーBはAの判断を受けて同じように追従しました。残るプレーヤーCも2:1交換を考えましたが序盤ということで9枚そのまま残すことを選んでいます
 ※プレーヤーCが『Festival』8枚を『Luxor』4枚に交換した場合、『Luxor』が最大規模の41overまで拡大した際の株券が1枚$1000なので最終処理では$4000が見込めます。対して『Festival』は8枚でも現在最低価格の1枚$300なので売却しても$2400となり、2:1交換 した場合は差益の$1600が発生しますが、序盤はこの再度吸収合併を起こした方が有利になると判断してプレーヤーCは全数残しています。

☆ゲーム終了!
 @全てのホテルが独立する
 A何れかのホテルが41マス以上になる
 のどちらかを条件を満たした時の手番プレーヤーが、【終了を宣言したら】ゲーム終了です。そのプレーヤーの手番終了でゲームが終了します。終了条件を満たしたとしてもゲームを続ける方が有利になる場合はそのままゲームを続けても構いません。この場合は次以降のプレーヤーの誰かが終了宣言をして手番が終わった時点で ゲーム終了処理に移行します。

最終決算

 盤上に成立している全てのホテルについて、筆頭株主、次席株主を求め配当金を受け取り、株券の売却を行います。【盤上に成立していないホテルの株券】については残念ながら紙屑ですね、ハイ。
 最終的に一番お金を持っている人が勝者となります。

 最後に

 アクワイアというゲームは古いゲームなんです。シンプルながらも懐の広さと状況の移り変わりのダイナミズムを堪能できる傑作マネーゲームと言えるんですが、古いアメリカのゲームだけあって、最近のユーロゲームに代表されるような 安全装置、と書いて初心者救済措置がありません。冒頭でも書きましたが、「3回目にならないと真の楽しさは体感できない」とあるようにこのゲームを初めて遊ぶ上ではまず勝敗にはからめません。ただ、逆を返してみればルール上の安全装置による失速 が無いため一度遊び方を理解してしまえば、戦術と運、流動する盤上模様によるドキドキ感、脳の奥が最高にに痺れる至福の時間を保証してくれる、お勧めのゲームです。
      

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